■ 第二十回 ’05 春のインド ダージリンの旅Uグムテリゾート編

カルカッタを楽しく過ごした後飛行機でダージリンに一番近い空港『 バグドグラ 』へ!ここはネパールへ行くにも、インドの最後に州になったシッキム(昔はシッキム王国があったところです。)に、行くにもこの空港を利用します。

日本を3月30日に出発して今回のツアーはタイ航空でバンコクで乗り換えることにしました。バンコクでタイに入国し街の中をバスで車窓から見学し夕食はタイのローカルな食堂でいただきました。以前は関空からカルカッタ行きもあったのですが今は首都のデリーしか直行便がありません。出発してから時差も含めると大変長い道のりです。
そして深夜に到着しくたくたで皆さん直ぐにお休みです。カルカッタでは、翌日早くからカルカッタの長い一日を満喫し、やっとダージリン行きです。カルカッターバグドグラ 12:10発13:10着 ジェットエアーの9W617便でゴハティ(アッサムの州都)経由でバグドグラ空港へ1時間の空路です。



昨日川沿いで夕日を見た後、グムテ茶園のオーナーでカルカッタのマルコポーロ社の経営者のアショック クマールさんの自宅へ夕食をお招き頂き皆さんと共に見晴らしの良いマンションのご自宅へ向かいました。カルカッタの夜景がパノラマのように360度見えるお家で家庭料理でおもてなし頂きカルカッタの夜も満喫させていただきました。

翌日、一緒にダージリンにご夫妻で私たちに同行してくださるということで空港で待ち合わせとなりました。
この写真はカルカッタ空港のお茶の自動販売機です。突然近代的なチャイのコーナーが空港の中にあります。価格も昨日の川沿いのチャイ屋さんは、一杯2ルピーですが、空港は突然6ルピーと3倍に跳ね上がります。しかし一番右の機械にはボタンがついていましてカルダモン入りのスパイスミルクティが選べます。日本にもぜひ設置していただきたい自販機です。所変わればなんとやら!ですね。



茶畑の茶の芽
1時間のフライトではヒマラヤ山脈が見えて大騒ぎで写真撮影です。ゴハティ空港では飛行機の中で降りることはありませんが機内からアッサムの茶畑とプラマプトラ川が上空から見え昨年のアッサムを思い出しました。とても自然豊かで機会があれば又ぜひ行きたい場所です。到着後直ぐに茶畑の茶の芽を見に出かけました。昨年は1週間足らず遅かったのですが今年は昨年より茶芽の成長が早くきれいな新芽が出揃っていました。

到着後、早速ウエルカムティで今年のダージリン・ファーストフラッシュの出来立てをいただきました。



100年前にレノックスさんが建てたヘリテージ
普通茶園では、マネージャー・バンガローがありそこでゲストは泊めていただくのですが、グムテ茶園はゲストハウスが別にあります。

英国人の開拓者ヘンリー・レノックス氏が1899年に茶園を作り、その後有名な入植者オブライエン氏に経営が引き継がれました。そして第二次世界大戦後、ネパールのラナ国王一家がオブライエン氏から茶園を買い取ります。さらにマハビー・プラサド氏とインドの開拓者ケジュリワル家が1950年代中頃に茶園を引継ぎます。

1954年より三代に渡って今のアショックさんのファミリーが経営をされていますこのゲストハウスは100年前にレノックスさんが建てたもので今はヘリテージとなっています。



グムテ茶園のファクトリー(製茶工場)
この茶園はダージリンのなかでも毎年5番以内に入る美味しい紅茶を作る有名茶園で、ここにも100年前のレノックスさんが開園当時に植えた100年以上前の中国種の茶樹がいまも元気に育ち製茶されています。

グランドマネージャーのマヘーシさんはここで25年以上勤務されていて大手の会社が経営する茶園と違って同じ茶園で長年移動なしで勤務させています。それで、本当にこの茶畑の茶の樹を熟知されているのです。ここの茶園は、美味しいお茶が出来ます。仕事は大変厳しく管理されているので良いお茶が出来ますが、マネージャーは工場を1歩でると大変親切で気を使われる心やさしい方です。



茶摘の女性たちが計量にファクトリーに戻ってきました。朝7時からお昼までと午後から夕刻までと2回茶摘の方たちは計量するためにファクトリー(製茶工場)にこのように戻ってきます。到着してお茶を頂いた後直ぐに工場に出かけました。といってもグムテのゲストハウスは、ファクトリーから歩いて3−4分のすぐ近くにあります。

写真の前の女性の籠を見せていただきましたがちょっと恥ずかしそうですが快く籠を下ろしてくれました。



ベテラン茶摘さんの籠の中
年配のベテランの茶摘さんに籠の中を見せてもらうと本当にきれいにサイズが揃っています。これが美味しいお茶を作るには重要です。重さを量るので大きくて硬い葉は思いのですがいいお茶を作る茶園では厳しく指導されています。

このようにファースト・フラッシュは小さな柔らかい芽で作られています。まだカテキンが少なく発酵が弱いため爽やかな揮発性の香りと薄い水色が特徴のお茶が出来ます。春太陽がだんだん強くなり、雨が降り大地が緩み春の柔らかい新芽が出始めます。冬の間しっかりとエネルギーをためた茶の樹のエネルギーが春の紅茶の醍醐味です。この茶芽が人の手によって飲み物となり世界中に送られてゆきます。こんなヒマラヤ山地の麓の山奥から!! イギリス人の大いなる開拓人魂を思い浮かべて驚かされてしまいます。



十何時間たった茶葉
茶園での一日が終わると夕食が始まります。この茶園ではベジタリアンフードです。多くの茶園は同じですが宗教上の考えなのでたまにイスラム教のマネージャーの茶園ではお肉が出たりするところもあります。夕食が終わり美味しいダージリンを頂きそれぞれ部屋に!でも皆さん興奮状態でなかなか直ぐに寝ずに各お部屋でお話が弾んでいたようです。

茶園に泊まる特典ですが、早朝に紅茶の状況を見ることが出来ます。
朝と夕刻に摘まれた茶葉が別々に萎凋溝に入れられて萎凋(水分を取るためにしおらせます)させます。それをマネージャーが何度チェックし朝何時から工場で揉捻するかが決められます。その状態が見たくてわがままをお願いし私たちも工場に出かけました。これが十何時間たった茶葉です。工場の周りに行くと本当にいい香りが立ち込めています。中に入ると揮発性の芳香が清々しく眠い目も覚めてしまいます。



茶葉のチェック
夜9時くらいから数度チェックされ2〜3時頃にもチェックされますが、マネージャーの勧めで5時近いほうが空が少し明るいのでゲストハウスからファクトリーまで道のりが歩きやすいとのことでその時間に行くことにしました。
私たちがつくとすでにアショックさんが来ていられ、直ぐにマネージャーも来てくださり本当にわがままな計画を快く受けてくださりお世話になりました。



さあ茶摘に行きましょう!
部屋に戻り少しベットに横たわると7時にファクトリーの前にあるドラが鳴ります。今まで何度もこのゲストハウスに泊めていただきこのドラは朝の仕事初めと勝手に思い込んでいましたが、皆さん家に時計がないので時間を知らせるため何度も鳴っているそうです。朝とお昼しかまったく気がつきませんでした。 7時にドラがなるとグムテに働いている茶摘の方々が家からこのように集まってきてグループを組んで仕事に出かけます。それはエリアで日当たりや品種が異なるためです。そのためエリア別で茶の計量も分けて計量するし、グループも細かく、茶を摘む速さなどでも分けるのは同じ製茶のロットの条件を整えるためです。細かい配慮がいろいろなされています。



みなさんとても熱心!
その茶摘の方たちに混ざってツアー参加のメンバーたちも眠いのに茶畑の中に出てき始めました。熱心で頭が下がる思いです。茶園2日目の朝の風景です。
お茶の旅は飲む国では優雅にお茶の時間など楽しめますが、作る国では製茶は待ってくれませんので一日中作業が続いているので大変熱心な方には寝る時間が少ない旅となってしまいます。

スリランカでもそうです。紅茶は、製茶作業が丸一日以上かかるので大変ですが一度現地を訪れてみませんか?

次回は茶園でのクッキングレクチャー等をご紹介したいと思っています。



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