■ 第五回 冬のトルコの旅 イスタンブル I
2003年1月、全回のお茶紀行の「冬のパリ」からトルコへ行きました。
トルコへは、以前一度、1997年の6月、気候の良い季節にメランジェ ツアーでいろいろな町を見て廻りました。前回の旅は、紅茶の産地である黒海沿岸のリゼを訪ねトルコの紅茶の茶畑や製造方法を見てきましが、今回は喫茶文化をテーマに喫茶の道具、食べ物の歴史、陶器の歴史を訪ねて廻りました。
パリからイスタンブールに飛行機でたった3〜4時間程度で行くことができます。ちょうど私たちが日本から台湾や香港に旅行するようにヨーロッパの人たちはトルコにいくことができます。しかしこんなに近くてもアジア大陸とヨーロッパ大陸を結ぶ海峡のまちイスタンブルはまったくヨーロッパと違う世界が広がっています。
では今回から数回に分けてご紹介していきたいと思っています。まずはイスタンブールの町から!
トルコはどこにあるかご存知ですか?
聞いてみると皆さん意外と国の名前は知っているが場所は?といわれる方が大部分です。
そこで場所を知っていただくために地図を載せました。この地図はトルコ大使館のHPから転写させていただいたのですが、地中海沿岸がよくわかります。
イスタンブルのボスボラス海峡が大変重要なアジア大陸とヨーロッパ大陸の玄関口というのがわかっていただけます。
イスラムアートが大好きな私は以前からモスクが好きでイスタンブルに行くことを夢みていました。
本当この町はモスクがたくさんあります。代表的なモスクを2つ紹介します。
アヤ・ソフィア博物館
4世紀にローマ帝国 コンスタンティヌス2世によって建設されたギリシャ正教のアギア・ソフィア大聖堂(ギリシャ語)と呼ばれていました。その後焼失したそうです。
537年にアヤ・ソフィア大聖堂として再建されました。
1453年にオスマントルコによってコンスタンティノーブルが征服されイスラム教徒のためのモスクとして「アヤ・ソフィア・ジャーミ」となり、1953年博物館となりました。
いまは埋め込まれていたビザンティンのころのものや、イスラム教のコーランの文字が書かれているのも見ることのできる博物館として開放されています。
ブルーモスク(私の一番好きなモスクです)
アヤ・ソフィアの前に道を隔てたところに1617年 メフメット・アーの建てた ブルー・モスクがあります。
イスタンブルの最大のモスクで内装に2万枚以上のタイルを使っていて大変きれいなブルーのイズニック・タイルや、キュタヤ(KUTAHYA)のタイルが幻想の世界へ導いてくれます。
この大変美しいたくさんの青いタイルのおかげで通称ブルー・モスクと呼ばれています。正式な名前は「スルタン・アフメット モスク」と言います。
6基のミナレット(塔)が特徴です。ここはアヤ・ソフィアと違い今なおイスラム教の方たちのお祈りの場としてこのモスクを使っています。なかの見学はイスラム教徒でなくとも入れますがミニスカートや短パンの洋服の場合まきスカートを貸してくださるので足を出さない服で中に入ります。
OTTOMAN コーヒーカップ(アンティック)
カパル・チャルシュ(屋根つき市場)、通称 グランバザールの中のアンティック屋街で見つけたオスマン朝のカップ。とてもきれいなカップがアンティックショップにもたくさんあります。
トプカプ宮殿の中のコレクションにもいろいろありますが、特に多くの絵の中にたくさんコーヒーを飲むシーンが描かれています。トルコといえば、いまはリゼという町で紅茶が作られています。輸入をしなくて自国でお茶が作れるので経済面で政府が力をいれて進めてきました。しかし、トルココーヒーは昔から有名です。
アラビア人によって広められたコーヒーはイラク、エジプトトルコへと伝わっていきます。トルコ軍がウイーンを攻めたときテントに残したコーヒー豆のおかげでウイーンにコーヒーが伝わります、1669年モハメッド4世の命でフランス ルイ14世にトルココーヒーの礼法を披露しパリに伝わるのもトルコのコーヒーです。素敵な装飾を施したコーヒーカップでオスマントルコの時代の上流階級の人たちは優雅にコーヒーを飲んでいたそうです。
グランバザールの中のチャイ屋さん
このおじさんともう一人おじさんがキッチンの中にいます。二人の仕事分担がはっきり分かれていて、このおじさんは、お茶をいれるのが専門。もう一人のおじさんは洗い物をしてすぐにいろいろなものを元の位置に戻していつでもすぐにお茶がいれられるようにスタンバイしておきます。
あまりの手さばきのよさに友人に説明してもらい次回私がイスタンブルに来たときは一日体験で修行したいとお願いしてきました。快くお返事いただいたので次回トルコに行くときは中に入って修行してきますね!
イタリアのエスプレッソを入れるバリスターもそうですがたくさん飲む国の人の仕事はすばらしい職人芸です。
チャイ屋さんの中の厨房。とても機能的で仕事が大変速い。
おじさんは見る見るうちに注文を仕上げて行きます。
紅茶の茶葉、砂糖はいつでもすぐに使えるようにふたはしていません。私たちの感覚だと砂糖は溶けそうだし、茶葉は湿ってしまいそうですが、そんな問題よりすぐに注文が入れば作ることそして早く届けることのほうが重要な感じでした。とても無駄なく配置されています。
そういえば昔上海の湖心亭でも一階の中国の地元のおじさんたちがお茶を頼む銘柄などは小さな入れ物にお茶の葉を入れてあって注文が来ればすぐに入れられるように山に積み上げてありました。どこの国もお茶が必需品のところはスピーディに作業できるよう厨房は工夫されていますね!
トルコ・チャイ
この小さなトルコのチャイ用グラスでチャイ屋さんでも家庭の中でもサーヴィスされます。
小さいと思う方がいられると思いますが、甘く濃くいれられたチャイはちょうどこの量で適量です。
一日かなりの回数お茶を飲みます。多いときは10杯以上です。トルコの乾燥した気候の中でこのお茶は喉の渇きを癒し、またエネルギー源でもあります。
お茶の飲み方はそれぞれの国で違います、しかしその国にしばらくいると自然と旅人である私たちにも必需品になってきます。日本だととても甘く感じるのですが、いろいろな環境で変わるものですね!
チャイの店の全景。
名前は「ETHEM TEZCAKAR KAHVECI」グランバザール
住所は番地の61−63です。
もしあなたがイスタンブルに行かれることがあればこのチャイの店でぜひお茶を飲んでみてください。とても忙しくお茶をいれているおじさんの職人芸が見れますよ!もちろんお茶もとってもおいしいです。
ここだけでなくグランバザールの中にたくさんチャイ屋さんがあります。
多くの店がデリバリーサーヴィスでお茶を注文するので大忙しです。
チャイの出前
見てください!このティトレイ??たくさんこのように、トルコのチャイ(お茶)はデリバリーサービスでこのバザールのなかのいろいろな店に配達されます。
ですから店の全景の写真をみていただければわかりますが店の前にほんの数席しか座って飲めるところはありません。
このバザールでお客様が商品を見出すと店のご主人や店員さんはお客様に「お茶はいかがですか?」と勧め電話ですぐにチャイ屋さんに注文をします。
ですから早く届けないとお客さんは長くいない人もいるので本当に早くお茶を淹れてすぐに届けます。
グラン・バザールの中にあるメタルのアンティックの店 「l'orient」
Portable cultural objects in copper,brass and bronze
Handicrafts の店のオーナーの Mr Murat Bilir さんは、学校でいろいろなハンディクラフトのアンティックや伝統的な ”Shadow Figures ”と言うトルコの影絵の歴史など教えていられる方です。
ムラットさんの店の中に大変貴重なロシアのサモアールが所狭しと並べられています。
彼は大変な知識のもち主で私がトルコのサモワールがほしくて探している事を話すとサモワールについていろいろと歴史や品質の問題、年代製造のメーカーのことなど時間をかけて大変親切にお話してくださいました。
ここで買ったロシアのサモワールは、いまメランジェに飾られています。
http://www.muratbilir.com/
ここにいろいろなロシア製のサモワールが載っています。でもいつかトルコ製のサモワールもぜひ手にいれたいと思っています。お茶の道具は大変国々で違い興味深いテーマです。
次回はグランバザールにあるカフェを紹介します。お楽しみに!
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