TEA and COFFEE Trade Journal

■ イギリスにやってきたチャイ

 それがホットでもアイスでも、甘くてもスパイシーでも、間違いなくチャイはイギリスで次にブレークする飲み物になるでしょう。ジェーン・ペティグリュー氏が、ダビンチファインフード会社(以下ダビンチ社)のジェフェリー・オブライエン氏に話を聞きました。

 Tea&Coffee Journal 4月号「Question of the Month」コーナーで、アメリカで現在飲まれているチャイが、コーヒー党の人達まで引きこむことができるかどうか、と問い掛けていました。ここにきてイギリスでも、ダビンチ社の新しいアプローチによって、チャイがトレンドになる可能性がありそうです。イギリスに本社をおくダビンチ社は、ダビンチグルメシロップと、タゾ社、ギラデリ社製品の輸入の独占権を持っています。これまで、さまざまな企業と密接な連絡をとり、頻繁にアメリカ(特にロスアンゼルスとサンフランシスコ)へ出向いていきました。この結果、オブライエン氏は、アメリカで何が流行っているのかを他社に先駆けて見つけ、イギリスの消費者やフードサービス業界に、アメリカの最新トレンドを紹介することができたのです。

 ダビンチ社は2年前、チャイがアメリカの紅茶業界で新しいトレンドになりつつあり、コーヒーバーや宅配のメニューにも、チャイが登場し始めていることに目をつけました。オブライエン氏は北アメリカの小さな町をいくつか訪れてみましたが、その大部分に町経営のチャイ工場がありました。彼らは"チャイラテ"という、紅茶に泡立てたミルクをトッピングした飲み物を作り、巧みにチャイラテの宣伝広告を行いました。その結果、今までなじみのなかったスパイシーでミルキーなインド式の紅茶が、世間に知られるようになりました。アメリカで流行ったものは、遅かれ早かれイギリスでも流行るもの…。1999年の初め、ダビンチ社は期が熟したと見て、イギリスにチャイラテを紹介しました。

 1998年の終わり頃、私はオブライエン氏から電話をもらい、イギリスの紅茶愛好家がチャイにどんな反応を見せるだろうかとたずねられました。私はその時、確かなことは言えないが、普通のイギリス人は未だに保守的で、伝統的なイギリス式とは違った紅茶を飲もうとしないのではないか、といったことを言いました。しかし同時に、"普通のイギリス人"というものは実際には存在せず、どんなことにも可能性があったのです。

 今ではイギリスで2種類のチャイが手にはいります。ひとつは濃縮液体のチャイ、もうひとつは粉末状のものです。濃縮チャイは、自分でミルクを加えます。割合はたいてい1対1です。一方、粉末チャイは、チャイの材料がすべて含まれています。スパイス、はちみつ、紅茶など…。ただ、濃縮チャイにもクリーマーや粉末ミルクがついているので、どちらにしても沸騰したお湯を用意さえすれば、チャイが楽しめます。あとは好みで冷やしてもいいし、泡立てたミルクを加えたり、シロップを加えてフレバリーチャイにして楽しむこともできます。

 ダビンチ社が、味や濃さや手軽さなど、アメリカ中を吟味して探し回った結果、濃縮チャイはタゾ社(濃縮オーガニックチャイも取り扱っている)、粉末チャイはビッグトレイン社(カリフォルニアのチャイ製造会社で、オレゴンチャイ社につづいてアメリカで売上2位)のものを輸入することを決定し、あとアイスコーヒーミックスもあわせて独占輸入権を獲得しました。現在ダビンチ社が取り扱っているチャイは、グリーンティー、ラズベリー、スパイス、バニラの4種類です。業務用と小売用の小さいサイズの両方を扱っています。ベースの紅茶はダージリンを使用し、グリーンチャイも含めすべてのチャイに、シナモンとアニス、クローブ、ジンジャー、マダガスカル産のバニラ風味をつけています。

イギリスのメニューに登場

 ダビンチ社は1999年2月、ロンドンで行なわれた国際食品博覧会(IFE)にチャイ製品を出展しました。そこでの反応は「チャイという名前は聞いたことがあったけれど、どんなものか知らなかった」というものでした。試飲やデモンストレーションで、バイヤーはすばやくチャイ製品に飛びつき、早速イギリス国内および他のヨーロッパ諸国で、コーヒーバーや宅配業者のメニューにチャイが加えられました。ロンドンのベーカーストリートにあるウィタードの「t-bar」でも、チャイがメニューに登場しました。店長は「顧客はチャイがどんなものか知らないので、興味深々でそれは何かと質問されます。そして、飲んでみてその味を気に入っていただいています。特にアイスで飲むのがいいようで、一番人気はスパイスティーです。売上もアップし非常にうれしいです。」と話してくれました。

 ロンドンで、いち早く流行を取り入れるカフェバーのチェーン店EATでも、タゾ社のオーガニック濃縮チャイを使ったチャイラテをメニューに加えています。チャイラテのプロモーションをソーホー地区のEATで行なったところ、1週間でなんと1000杯ものチャイラテが売れたのです!

 チャイは、コーヒーバーのメニューに最適です。なぜなら、コーヒー党の人だって、いつもエスプレッソやカプチーノを飲みたいわけではなかったのです。またコーヒーを飲まない人が、コーヒーバーでコーヒー党の友人と待ち合わせをする時、コーヒーバーによくある、まずい紅茶を飲まないで、代わりにチャイを頼めるようになったのです。おまけに値段もカプチーノやカフェラテと変わらないこともあり、チャイはコーヒーと紅茶党のどちらからも、共通の選択肢となりました。

 家庭でチャイを楽しみたいなら、セルフリッジデパートで、ビックトレイン社の家庭用粉末チャイが手に入ります。先日セルフリッジで2日間のプロモーションが行なわれましたが、非常に好評で400パックほど売れました。こうして現在は、英国中の惣菜店や食品店で、チャイが扱われるようになりました。

 次のステップは、店で買ってすぐ飲める紙パックや瓶のチャイを売り出すことです。ダビンチ社は、カリフォルニアのニュームーン社の製品を販売し始めました。この会社のオレンジグリーンチャイ(緑茶とオレンジのエッセンスをブレンドしたもの)と定番のスパイスチャイ、そしてノンカフェインのミントチャイ(カモミールとスペアミント入り)が200mlパック入りで発売されました。さらにオレゴンチャイ社(チャイ業界全米1位)にも働きかけ、業務用の濃縮チャイと、ボトル入りチャイを製造できないか、ともちかけています。

 チャイとはどんな味かを消費者に知ってもらえれば、チャイに対する興味や、店に常時置いてほしいという声は、間違いなく高まります。だからこそダビンチ社は、チャイが一般に受け入れられ、英国中の店に置かれるまで、派手な宣伝を行ない商品をアピールし続けます。現在は、じわじわ認知度が上がってきており、英国メニューにチャイを取り入れてもらうように働きかけています。さらに、地方に住んでいてダビンチ社の製品が手に入りにくい人のために、通信販売も始めました。

アリゾナ社の瓶入り紅茶

 ダビンチ社はさらにアリゾナビバレージ社(全米1位の飲料会社)から瓶入りアイスティーとハーブティーを輸入し始めました。チャイと同様、オブライエン氏が3年前にこの製品に注目し、それ以来なんとか輸入できるように働きかけてきました。アリゾナ社が製造しているのは、緑茶にプラムジュースを加えたものや薬用ニンジンを加えたもの、さらにはちみつ入りハーブティー、ノンカフェインのハチミツレモン、薬用ニンジン入りや、ストロベリー味のアイスティー、バナナアイスティーなどがあります。この原材料のリストを見ると、おもしろいことに、すべて同種療法やハーブの材料が使われています。ギンナン、蜂の体についた粉、薬用ニンジン、ローズヒップ…こういったものは体にいいと言われているものばかりです。

 ダビンチ社は、アリゾナ社のきれいなフィルムでラッピングした目立つ瓶入り紅茶を、2月の国際食品博覧会で新製品として展示しました。今ではコーヒーバーや、ウェイトローズスーパー、セルフリッジデパートの食品売り場はもとより、小さな食品店や総菜屋でも売っています。これまでの反応は、チャイに負けず劣らずで、中味同様そのパッケージやスタイルが評判となっています。

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